多汗症

多汗症に効く薬は一体どれか?

特別暑いわけでもないのに、ポタポタと滴り落ちる汗……。そんな汗が気になって人間関係が築けないほど、日常生活に支障が出ることがあります。それが多汗症です。

この記事ではそんな多汗症の治療に使われる薬を紹介いたします。

 

薬が必要な程の症状ってどんなもの?

自分が単なる汗かきなのか、それとも多汗症なのか。一番いいのは病院に行って相談することですが、セルフチェックをする方法もあります。以下がその項目になります。

 

  • 日常生活に支障があるくらいの多量の汗が出る。
  • 最初に症状が出たのが25歳以下である。
  • 両手、両脇、両足など左右で同じ程度の量の汗をかく。
  • 睡眠中はその部分に汗をかかない
  • 家族や親戚に多汗症の人がいる
  • 1週間に1回以上は異常だと思われる量の汗をかく

 

この内2つ以上当てはまれば多汗症の可能性があります。

ちなみに1番の日常生活に支障があるくらい、というのにも基準があります。こちらがその基準になります。

・汗が気になって人間関係がうまくいかない

・汗を拭くためのハンカチやタオルなどが手放せない

・汗でノートや書類などの紙がふやけたり破けたりして勉学や仕事がうまくいかない

・汗ジミが気になって着たいと思う服が着られない

これらの状態が続いているということは、かなり生活にも支障が出ていると思われますので、早めに病院を受診されることをオススメします。

 

多汗症の薬って何科にもらいに行けばいいの?

基本は皮膚科です。多汗症の症状は、軽度から重度にかけて皮膚科で見てもらうことができます。重症になると、手術という方法をとるかたもいらっしゃいます。其の場合は形成外科や、美容外科に受診しにいきます。

 

多汗症の薬ってどんなものがあるの?

多汗症の薬は飲み薬、塗り薬、注射などがあります。いずれも軽度から重度の多汗症の方に使用することができます。それではそれぞれの薬を詳しくご紹介いたします。

 

多汗症のお薬その1 飲み薬

・神経遮断薬 「プロパンテリン」

この薬は多汗症の治療薬として認可されているお薬です。発汗は交感神経の末端から出る「アセチルコリン」という神経伝達物質によって汗腺が刺激されて起こります。このプロパンテリンはそのアセチルコリンの放出を抑制して、汗の量を減らす効果が期待できる薬です。

一般的に服用して20分程度で効果が現れて、3~4時間程度持続するとされています。しかし副作用で目の乾きやかすみ、便秘、眠気、胃腸障害、尿が出にくくなるなどの症状がでてくることがありますので注意が必要です。

 

・「ポラキス」

こちらもアセチルコリンを抑制する飲み薬です。膀胱の収縮を抑える薬として使われていますが、それと同時に発汗を抑制する薬としても使用されます。

ですが、こちらも副作用として口内の乾きと便秘、尿が出にくいなどの副作用が報告されています。

 

【漢方薬】

多汗症の治療として漢方薬を用いることもあるようです。漢方の治療では、発汗状態を重視し、これによって患者を区別しています。具体的な区別方法は、発汗部位(全身、背部、頭部、手足)と汗の出方(無汗、漏汗、自汗)などで分けられます。続発性多汗症の原因となる病気があるものには、その疾患にあった治療が最優先となります。

 

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

この漢方は特に多汗症の治療に多く用いられています。比較的体力のある方に使用されます。便秘傾向があり、不眠、抑うつ気分のあるかたに処方されます。また腰から下がなんとなく重いという症状にも、この漢方薬を処方する目安になると言われています。自律神経を整えることによって、発汗を抑えることができます。

主な成分は、のぼせを改善することのできる桂皮、利尿作用のある茯苓(ぶくりょう)、鎮静作用のある竜骨などです。メーカによっては大黄を含んでいる場合もあります。

 

・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

体力は中程度でアレルギーのある方に処方されます。情緒が不安定な方の心を沈め、不眠や夜泣きなどの症状にも効果があります。また慢性の湿疹にも聞きます。

消炎作用のある柴胡や薄荷(はっか)や連翹(れんぎょう)や栝楼根(かろこん)を含み、排膿作用のある桔梗(ききょう)と牛蒡子(ごぼうし)を配合している漢方薬です。発汗体質を改善する効果が期待されます。神経質で、情緒不安定、不眠などの症状がある方に処方されます。

 

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

体力のある方に処方されます。排尿障害や、手のひらや足の裏に汗をかいたりする症状に処方されます。清熱作用のある竜胆(りゅうたん)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)などが配合されています。

 

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

イライラやのぼせの症状のある方に処方されます。また出血傾向のある方にも処方されることがあります。気分がイライラしてしまう方や、胃や胸の辺りがモヤモヤとする方に向いている漢方です。消炎作用のある黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)を配合しています。 冷え性の方には効果がないとされるので、飲む際には専門家の判断を仰ぎましょう。

 

・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

体力が中程度の方に処方します。手のひらや足のうらの発汗、筋肉の緊張がある場合に処方されます。

 

・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

体力の無い方に処方される漢方薬です。利水作用のある防已(ぼうい)と黄耆(おうぎ)が配合されており、むくみに効果があります。息切れしやすく、肥満の方によく処方されます。

 

・加味逍遥散(かみしょうようさん)

体力の無い方に処方されます。不定愁訴があるかたや、女性特有の気の落ち込みがある方によく処方されます。

漢方は色々な種類があり分かりにくいものもあります。最近では漢方外来や漢方専門医も増えてきていますので、漢方に興味のある方は一度受診してみてはいかがでしょうか。

 

多汗症のお薬その2 塗り薬

多汗症の治療に使われる塗り薬で一般的なのは、塩化アルミニウムが配合されているものです。この薬には年齢制限がないので、幼児期のお子さんから使用することができます。      主な薬は以下にご紹介します。

 

【塩化アルミニウム外用療法】

皮膚に問題の無い方は、塩化アルミニウムを有効成分とするこの塗り薬を使用します。多汗の気になる場所どこでも塗ることができます。この塩化アルミニウムは、汗を出す管の細胞に作用するお薬です。そしてその管と塩化アルミニウムと皮膚の細胞が合体することにより、管を塞ぐ栓になります。こうして栓をすることによりえい汗を抑えることができるわけです。

使用を始めてから早ければ数日、遅くとも数週間で効果が出てくるとされています。それ以上使用しても変化の無い方は、残念ながらこの方法は合わないということになります。

この薬は自宅で手軽に塗ることができ、副作用も少ないことがメリットとしてあげられます。デメリットは、効果が一過性の為、継続的に使用しなければいけないことです。また保険が適用されません。費用は薬によっても異なりますが、平均して100gあたり1,000円前後のものが多いようです。

 

【塩化アルミニウム外用制汗剤】

こちらは市販の制汗剤と似たような働きをします。違うのは、市販のものよりも配合されている成分が濃いことです。

使用方法は薬品を水やエタノールで薄めて皮膚に塗ります。塗り薬と同じく、一時的に汗腺の出口にある皮膚のタンパク質を固める作用があり、汗を出にくくする効果があります。

使用方法は、寝る時に多汗の気になる場所(手のひらやワキ)に塗り、起きたらしっかりと洗いながします。症状が重い方は、布手袋に薬品を染み込ませ、その上からゴム手袋で覆うという「密閉療法」を行うとより効果的です。ですが 人によってはかゆみやかぶれの症状が出ることもあるので気をつけましょう。

 

・パースピレックス

塗るタイプの制汗剤で、病院で処方されます汗を抑えたい部位に塗ると、上記の制汗剤と同じく汗腺の深部に栓をつくり発汗を抑制します。このパースピレックスは効果が長時間続くことが特徴です。なんと1回の使用で3~5時間も効果が持続するという優れものです。市販の制汗剤では抑制の難しい手のひらや足の裏の汗にも効果てきめんです。

また無香料タイプなので、学校でも会社でも気兼ねなく使うことができます。また衣類への色移りもありません。小学校低学年のお子さんにも使用できます。このパースピレックスは医薬品なので、処方には医師による診察が必要となります。

 

多汗症のお薬その3 注射

多汗症のお薬の3つ目はボツリヌス菌の毒素です。これを発汗の気になる場所に注射します。毒素ときくと怖いイメージがありますが、れっきとした治療法です。この毒素というのは、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質のことです。最近では、美容外科のシワ取りやたるみ取りなどにも使われています。

この注射を汗の気になる部分にすることによって、交感神経の司令をブロックし、エクリン汗腺からの発汗を抑制してくれる効果があります。特にワキの下の発汗に対して効果が高いと言われています・

メリットは、10分~20分という短い施術時間で手軽に行うことができる点です。早い人では注射をした翌日から効果が表れ、通常でも3日くらいで効果が実感できるそうです。そしてその効果が数ヶ月から1年程長続きします

デメリットは、ワキ以外には保険が適用されない点です。また完治する治療法ではないので定期的に施術をする必要があります。

 

費用は医療機関によって異なりますが、保険が適用される場合は両脇で1万~4万円程度、保険が適用されない場合は10万円以上かかることもあります。

ですが、一度注射をすれば自分で他にすることはありません。とても手軽な方法なのでやってみる価値はありそうです。

気になる注射の痛みですが、「ちくっとした」という方から「結構痛い」という方まで様々な方の声があります。しかし、病院で局所麻酔や、麻酔クリームを塗ってからの施術もしてもらえますので、一度しっかり相談することをオススメします。

 

多汗症部位別おすすめのお薬

多汗症と一口にいっても、症状が出る場所は様々。そこで場所別にオススメの治療法とお薬をご紹介します。

 

・腋窩多汗症(えきかたかんしょう)のお薬

多くの方が悩む部位のワキです。こちらはまず塩化アルミニウムの塗り薬から治療を始めるのが一般的です。効果が見られない場合は、ボツリヌスの注射を行います。ワキが一番この注射の効果が高いとされているからです。それでも効果が薄ければ、この2つの治療法を併用する場合があります。2つを併用しても効果が見られない場合は、手術を選択肢に入れなければなりません。

 

・手掌多汗症と足蹠多汗症のお薬

この2つの部位は治療法が似ています。こちらもまず塩化アルミニウムの塗り薬の治療から始めます。人によってはイオントフォレーシスの治療も並行します。それでも効果がない場合は、ボツリヌスの注射を行います。注射の効果もなければ、手のひらに限りEST手術を行う場合もあります。

 

・頭部多汗症と顔面多汗症のお薬

まずは塩化アルミニウムの塗り薬を試します。効果がなければ飲み薬を併用します。それでも効果がない場合はボツリヌスの注射を行います。EST手術も可能とされていますが、重度の副作用の可能性があり、こちらの部位への手術はほとんど行われていません。

 

多汗症の薬まとめ

様々な多汗症の薬をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。この中で1番効く! という薬は決めがたいものがあります。それはどの薬にもメリット・デメリットがあるからです。また薬は個人差がかなりあるため、他人に効いた薬が自分で使ってみたらいまいちだった……ということはよく有ります。

結局は副作用の問題もあるので、自分で試して見るしか無いのです。最近では多汗症もメジャーになり、多汗症外来も増えてきましたので、お医者さんに相談しやすい環境になってきています。どうしても恥ずかしい場合は、電話やメールで相談を受け付けているクリニックもあるようなので、そちらを利用してみるのも1つの手です。

 

いずれにせよ多汗症は一人で悩まず、専門のお医者さんに相談することが、完治への近道です。一度、勇気をだして病院へ行ってみてはいかがでしょうか。